きっと、愛ってそういうもの。
お寿司屋さんで、えんえんとまぐろを頼むわたしはなんて一途なのだろうって、
とろける幸せを口のなかで溶かしながらまぐろを愛していた。
ネタのなかでまぐろはダントツに好きで、特に赤身でないといけない。
飽きずにいただけるのは赤身である。そしてあいだに、いくら、あじ、納豆巻き、を挟む。
まぐろで始まりまぐろで終わる。それがわたしのルールだ。
つまり、まぐろを愛している。
でも外にでたらまぐろのことなんて忘れちゃって、通り過ぎるお店のメニューを眺めながらパスタが食べたい欲に耐えられなくてパスタを食べる。
毎日、朝昼晩とパスタが食べたい、そう、パスタが大好きなのだ。パスタを食べたあとにパスタが食べたいって思う。そもそもパスタに飽きの要素なんてかけらもなくて、どれも味がちがって、なめらかな口通りだけが共通している。
パスタが食べたい、日常そう欲するけれど、まぐろは思いださない。
依存しているのはパスタで、愛しているのはまぐろ。
好きなのはパスタで、愛しているのはまぐろ。
たぶん、愛ってそういうもの。
意識の根底に常にあるものが愛、落ちついた精神が愛、もし結婚するとしたらまぐろを選ぶんだろうか。
って考えたら、まぐろを愛して結婚してもパスタが大好きなわけで、パスタとは縁を切れる未来なんて想像できないし、じゃあパスタは浮気になるのか!?浮気なのか!?
よく、浮気をしても愛してるのは君だけだ、帰ってこれる場所はここだけだ、的な発言をする浮気男がいるけれど、もしかしたらそういうことなのかもしれないなぁと……。
とにかく、パスタもまぐろもとてつもなくおいしい。おいしすぎる。